ビスタが選んでいるのは、Cassina、Carl Hansen & Søn、Fritz Hansen、Herman Miller、Artek、KARIMOKU CASE、PP Møbler、Louis Poulsen、FLOS、LE KLINT、Tom Dixon。イタリアのモダンクラシック、デンマークの北欧マスター、米国ミッドセンチュリーの代名詞、フィンランドの曲げ木、日本の建築家コレクション、王室御用達の照明、そして現代英国のデザイン。それぞれが違う文脈を持ち、組み合わせることで、一邸の物語が静かに立ち上がります。
この記事では、各ブランドの来歴と代表作、そして暮らしへの迎え方を、ひとつずつ読み解きます。読み終えたとき、自分の住まいに何を据えるべきか、その目安が立つことを願っています。
なぜ、組み合わせで選ぶのか
一社だけで邸宅は仕立てられません。椅子はデンマーク、ソファはイタリア、照明もデンマーク、ストレージは日本。異なる系譜が一邸に集まることで、住まいに立体性が生まれます。間取りの均質さではなく、家具の系譜の多様さが、暮らしに奥行きを与えるのです。
「名作」と呼ぶための、いくつかの条件
私たちが「名作」という言葉を使うとき、その背後には四つの条件があります。半世紀近く、あるいはそれ以上にわたって生産が続いていること。正規の生産権、あるいは公式のライセンスのもとで作られていること。職人の手仕事が、いまも工程のどこかに残っていること。そして、修繕と部品供給の体制が整っていること。三十年使う前提で家具を選ぶなら、最後の条件はとりわけ重い意味を持ちます。
Cassina(カッシーナ)— イタリア・モダンクラシック
1927年、イタリア・ミラノ近郊のメーダに創業。1964年に発足したコレクション「I Maestri」で、ル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンの家具を正規に生産する権利を得たことで、20世紀デザインの正統な継承者となりました。
LCシリーズ(LC2、LC3、LC4 など)は、1928年に発表された設計を今日に伝える名作です。1957年にジオ・ポンティ(Gio Ponti)が手がけたスーパーレジェーラ(699)は、片手で持ち上げられるほど軽い椅子として知られています。一脚で空間の格を決める、主役のための家具です。
より深く知りたい方は、Cassina(カッシーナ)と暮らす — モダンクラシックの最高峰、その選び方と、Cassina のブランドページをご覧ください。
Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン アンド サン)
1908年、デンマーク・オーデンセに創業。1949年にハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner)が設計したCH24、通称Yチェアの正規生産者として、世界に知られています。座面は今も職人がペーパーコードを一本ずつ手で編み上げ、一脚を仕上げるのに相応の時間をかけます。
北欧モダンの定番でありながら、暮らしに静かに寄り添う柔らかさを持つブランドです。Yチェアの選び方は、Yチェア(CH24)の選び方で詳しく取り上げています。ブランドの全体像はCarl Hansen & Søn のブランドページへ。
PP Møbler(ピーピーモブラー)
1953年、デンマーク・アレレズに創業。ハンス・J・ウェグナー晩年の作品を、唯一の生産者として手がけてきました。小さな工房で、一脚一脚を職人が手仕上げします。代表作のピーコックチェア(PP550)やヴァレットチェア(PP250)は、数を作るためではなく、半世紀後にも残るために作られた家具です。私たちは、その時間軸に共感しています。詳しくはPP Møbler のブランドページへ。
Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
1872年創業の、デンマーク家具の名門。アルネ・ヤコブセン(Arne Jacobsen)が設計したエッグチェア、スワンチェア、そしてセブンチェア(Series 7)の正規生産者です。エッグチェアとスワンチェアは、1958年に開業したSASロイヤルホテル(コペンハーゲン)のために生まれました。曲線で空間を仕立てる、20世紀の象徴です。Fritz Hansen のブランドページへ。
Herman Miller(ハーマンミラー)
1923年、米国ミシガン州ジーランドに創業。チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames)、ジョージ・ネルソン(George Nelson)、エーロ・サーリネン(Eero Saarinen)の名作を擁する、米国ミッドセンチュリーの代名詞です。1956年に発表されたイームズ・ラウンジチェア&オットマンは、成型合板と革を組み合わせた、書斎の風景を変える一脚として知られています。Herman Miller のブランドページへ。
Artek(アルテック)
1935年、建築家アルヴァ・アアルト(Alvar Aalto)らによってフィンランドで設立されました。社名は「Art(芸術)」と「Technology(技術)」を組み合わせた造語です。曲げ木技法から生まれたStool 60や、療養所のために設計されたパイミオ チェアが代表作。無垢のバーチ材が、北欧の家にも日本の家にもなじみます。Artek のブランドページへ。
KARIMOKU CASE(カリモクケース)
カリモク家具のプレミアムラインとして、ノーム・アーキテクツ(Norm Architects)や芦沢啓治(Keiji Ashizawa)といった建築家との協働から生まれるコレクションです。実際の建築プロジェクトのために設計された家具を、国内で製造しています。木と人の手のあいだにある長い時間を、静かに継いでいるブランドです。KARIMOKU CASE のブランドページへ。
Louis Poulsen(ルイスポールセン)
1874年創業、デンマーク照明の定番です。ポール・ヘニングセン(Poul Henningsen)が手がけたPHシリーズ — PH5やPH50、そしてSnowball — は、光源を直接見せず、やわらかな光だけを届ける設計思想で知られます。デンマーク王室御用達のブランドでもあります。Louis Poulsen のブランドページへ。
FLOS(フロス)
1962年、イタリアに創業した照明ブランド。アキッレ・カスティリオーニ(Achille Castiglioni)が1962年に設計したArco(アルコ)は、大理石の台座から弧を描くフロアランプとして、リビングの中央に立つ存在になりました。ジーノ・サルファッティ(Gino Sarfatti)の作品群も手がける、イタリア照明の格式です。FLOS のブランドページへ。
LE KLINT(レクリント)
1943年に正式に設立された、デンマーク王室御用達の照明ブランド。建築家カイ・クリント(Kaare Klint)の家族による手仕事に起源を持ちます。職人が一灯ずつ手で折るプリーツシェードは、紙が光をやわらかく拡散させる「光の家具」です。LE KLINT のブランドページへ。
Tom Dixon(トム・ディクソン)
英国・ロンドンを拠点に、デザイナーのトム・ディクソン(Tom Dixon)が立ち上げたブランド。金属の質感を生かした照明や家具で、現代の英国デザインを代表する存在です。歴史ある北欧・伊太利のブランドと並べたとき、現代のエッジを一点加える役割を担います。Tom Dixon のブランドページへ。
三つの調べから、組み合わせを考える
これらのブランドは、三つのスタイルのなかで自然に組み合わさります。
- Japandi — Carl Hansen & Søn と KARIMOKU CASE を中心に、Artek の無垢材、LE KLINT や Louis Poulsen の光。オーク、リネン、薄墨の色調で、余白を活かします。
- Hôtelier — Cassina のソファと Fritz Hansen の曲線を中心に、FLOS や LE KLINT の照明。大理石、真鍮、墨黒の色調で、賓客を迎える格式を仕立てます。
- Midcentury — Herman Miller のイームズと PP Møbler、Cassina の LC シリーズ。チーク、キャメル、ブラスの色調で、巨匠たちの時代を一邸に集めます。
三つの調べの選び方は、Japandi / Hôtelier / Midcentury — 三つのスタイルから、暮らしの調べを選ぶで詳しく解説しています。
ブランドを混ぜるときの作法
並べるだけでは、混乱になります。私たちが守っているのは、二つだけです。主役となる家具を二つ以上入れないこと。そして、木材の色味を一軸に揃えること — オーク中心か、チーク中心か、ウォルナット中心か。経年変化の足並みをそろえることも、長く使う家具では大切な視点です。
正規取扱店として、私たちが担うこと
並行輸入品と正規流通品の最大の違いは、保証と修繕、そして部品供給にあります。Yチェアのペーパーコードの張り替え、革の張り替え、シェードの交換。三十年使う前提なら、これらの伴走が欠かせません。納期もブランドごとに異なるため、邸宅の引渡しに合わせてスケジュールを設計します。
暮らしへの迎え方は、事例で
実際にビスタが仕立てた邸宅は、コーディネート事例でご覧いただけます。ブランドの選び方を、より広い文脈で読むなら、暮らしを、誂える — Lifestyle Story という思想へ。
一脚の椅子から、家を考える。私たちは、お客様の暮らしと邸宅から逆算して、ブランドの組み合わせを仕立てます。ご相談を承ります。取扱ブランドの資料を受け取ることもできます。