Yチェア(CH24)は、ハンス・J・ウェグナー(Hans J. Wegner)が1949年に設計し、デンマークの Carl Hansen & Søn が今日まで生産し続けている椅子です。座面は職人がペーパーコードを一本ずつ手で編み上げます。この記事では、Yチェアの来歴と構造、樹種や仕上げの選び方、そして長く使うためのお手入れまでを、実践的にお伝えします。
一脚が、七十年以上作られ続けている
Yチェアは、ウェグナーが中国・明朝時代の椅子に着想を得て生み出したと言われています。後ろから見たときの背もたれの支柱がアルファベットの Y の形に見えることから、Yチェアの通称で親しまれています。正式名称は CH24。
1949年の発表以来、Carl Hansen & Søn が生産を続けてきました。設計の核を変えずに、同じ椅子を作り続ける。その継続そのものが、この椅子が名作である証です。Carl Hansen & Søn の歴史はブランドページでもご紹介しています。
構造と、手仕事
Yチェアは、いくつもの木のパーツから組み上げられています。後脚から背もたれの笠木へと続く曲線は、削り出しと接合の技が問われる部分です。
そして座面。ここに張られるのがペーパーコード — 紙をこより状に撚った丈夫な紐です。職人が一脚分を手で編み上げるのに、相応の時間がかかります。座る人の体重を受け止めながら、しなやかにたわむ。この座り心地が、Yチェアの魅力の中心にあります。
樹種と仕上げを選ぶ
Yチェアは、複数の樹種と仕上げから選べます。
- オーク — 明るく素直な木目。Japandi の調べによくなじみます。
- ビーチ — きめが細かく、やわらかな印象。
- ウォルナット — 濃く深い色味。Midcentury の調べや、落ち着いた空間に。
仕上げは大きく二つ。オイル仕上げは木の質感が手に伝わり、経年で色が深まります。ソープ仕上げ(石けん仕上げ)は白木の風合いを保ちたい方に向きます。日々の手入れの仕方が変わるため、暮らし方に合わせて選びます。
座面の色 — ナチュラルとブラック
ペーパーコードには、生成りに近いナチュラルと、黒のブラックがあります。ナチュラルは木の脚と一体となって柔らかくまとまり、ブラックは座面が引き締まって空間にリズムを生みます。床や食卓の色との関係で選びます。
何脚そろえるか
四脚そろえて食卓を統一する迎え方もあれば、一脚を主役にして、ほかのブランドの椅子と組み合わせる迎え方もあります。子どもを育て上げたご夫婦の住まいなら、二脚を窓辺に置き、来客時に増やす、という考え方もできます。家具から暮らしを設計するという視点では、まず一脚をどこに据えるかから考えます。
長く使うための手入れ
木部は、オイル仕上げなら年に一度ほどオイルを薄く塗り直すと、表情が保たれます。ソープ仕上げは、専用の石けん液で拭き上げます。ペーパーコードの座面は、長い年月のうちにゆるみが出れば張り替えができます。正規取扱店を通じて張り替えを依頼できることが、長く使ううえでの安心につながります。
より広い文脈で読む
Yチェアを含む取扱ブランドの全体像は、世界の名作家具と暮らす — 取扱ブランドの完全ガイドへ。スタイルとの合わせ方は三つのスタイルから、暮らしの調べを選ぶに、実際の邸宅はコーディネート事例にまとめています。